こんにちは、今年でフリーランス10年目を迎えるオッキーです。みなさんは、コワーキングスペースを利用されたことはありますか? 2010年代前半から日本でも普及が始まり、今では都内主要駅はもちろん、地方でも主要都市にはコワーキングスペースに類する何らかの施設がある、というくらい広がりを見せていますよね。

私は、2013年11月~2017年4月の間、ICTCO(イクトコ)という、東京・中野にあるコワーキングスペースの固定席を借りていました。この5月からは、縁あって近くのシェアオフィス(ICTCOから500mくらい)に移転することになりました。

せっかくなので、この機会にフリーランスとしてコワーキングスペースの固定席をがっつり3年間使ってみた感想をまとめてみます。

分かりにくいICTCOの入口

固定席をどのように使っていたか

まずは、固定席をどのように使っていたかについて説明します。

私の場合、自宅も中野にあるため、ICTCOまでは徒歩で通勤(10分強)していました。出勤時間は日によってまちまちで、9:00(ICTCOの営業開始時間)に行くこともあれば、午後から行くこともある、という感じです。

というのも、基本の仕事場所はICTCOですが、やむなく深夜・休日に仕事をすることもあるため、自宅にも仕事部屋を設けています。日によっては朝は自宅で仕事をして、午後からコワーキングスペース、という使い分けをしていました。また、雨が降って外出するのが憂鬱なときや、気分が乗らないときは、終日自宅で仕事をすることもありました。

このように、タイミングやシーンによって使い分けができるのがコワーキングスペース(+フリーランス)の良いところです。

固定席

また、私の場合は仕事上、マウスや外部ディスプレイが必須のため、毎日出勤する度にノートPCやデスクをセットアップする手間を考えて、固定席を選択しました。ある程度の荷物も置いておけますし、月の半分以上利用するのであれば、固定席一択かな、という感想です。

さて、ここからはコワーキングスペースを利用して良かった点、悪かった点を具体的に挙げています。

まずは良かったことから!

メリットと言っても細かいことを挙げていくと長くなるので、3つに絞って説明していきます。あくまで私がICTCOを利用した上での感想ですので、他の立場やコワーキングスペースでは当てはまらない点もあるかと思いますが、その点はご理解ください。

良い点その1. 家賃が格安

はい。何はなくともお金です。フリーランスは、基本的に仕事場には1人きりですので、自宅の仕事部屋だけでも十分成立します。また、事業の支出は経費になるとはいえ、その実体は個人の収入からの支払いですので、支出を抑えるに越したことはありません。

ICTCOの固定席家賃は、2017年4月現在で32,400円(税込)ですので、一般的なコワーキングスペースの固定席と同等程度の家賃となっています。当然、個別にオフィスを借りるよりも格段に安いです。

また、見逃しがちではありますが、コワーキングスペースの大きいメリットとして、水道光熱費およびインターネット回線費が家賃に含まれている、という点が挙げられます。普通にオフィスを借りると、規模にもよりますがこれだけで2~4万円が必要になりますので、大変オトクと言えます。

良い点その2. イベントを開催できる

私は、WebクリエイティブコミュニティのDISTの主宰を務めており、その勉強会会場としてコワーキングスペースを利用できることが大変ありがたかったです。非営利のイベントということで、無償で利用できたことも助かりました。

DIST.1の様子

これまでDIST以外も含めて、数十回の勉強会開催経験がありますが、 自分のオフィスと勉強会会場が同じ、というのは、これほどまでに楽なのか! と実感しました。なんせ、重い機材や事務用品を運ばなくてよい、この1点だけでも!importantなメリットです(他の何よりも優先されるってことダヨ!)。

なお、DISTはICTCOで14回開催し、おかげさまで会場のキャパシティ(80名)を超える参加者が集まるほどに成長しまして、15回目からはさらに大きな会場に移転しました。

良い点その3. 新たな出会いがある

普段の生活では巡り会えそうにない業種・職種の方々と出会えたことは、まさにコワーキングスペースならではの財産だったな、と思います。年代や仕事はバラバラでも、デスク1つで何か始めよう!と同じような気持ちで入居されていた方とは、良い人間関係を築くことができました。

ICTCO会員のみんなと!

幸いにもお仕事に繋がることもあり、実際にコーポレートサイト、Webサービス、デジタルサイネージなどを制作しました。

反対に、悪かったことって?

さて、続いては悪かった点です。こちらも3つに絞りました。コワーキングスペースの性質上、ある程度避けられないこともありますが、特に重要と考える点を中心に述べていきます。

悪い点その1. 場が運営の質に左右される

これが最大にして最重要な点ですが、やはり コワーキングスペースは、運営者の質がすべての鍵を握っている と言えます。

ICTCO開設当初のイベントスペース

一般的に、利用者からの要望があれば、真摯に受け止めてサービスを改善していくのが事業者(運営者)の基本です。しかし、この基本的なサイクルが回っていない低レベルの運営の場合、それに伴って場、つまりコワーキングスペース自体にも、低レベルな利用者が集まってきてしまいます。

例えば、ルールを守らない利用者がいたときに、運営側が注意をしないとしましょう。最初はちょっとしたルール違反だったとしても、それが放置されていると、だんだんと無法地帯になっていき、最終的にはルールがなかったかのような状態になっていきます。こうなると、きちんとルールを守っている利用者からすれば、おもしろくないものです。結果、正常な利用者はいなくなり、ルールを守らない人だけが残ります。あとは、悪循環の波にのまれるだけです。

とはいえ、この点は表裏一体で、当然運営者の質が良ければ場の質は良くなっていきます。あくまで、良くない方に作用した場合のリスクが高い、ということでご理解ください。

悪い点その2. 温度差のある他入居者がいる

埃まみれのデスクを掃除しない、長時間大きな声で電話する、など、自分とは相容れない価値観や、異なる仕事のスタイルを持つ他入居者と、共存していかなくてはなりません。

運営側のルールで解消してもらえることもありますが、根本的な考えが違う人とは、どうしても細かいところで合わない、ということが起こります。

また、当然、自分が他入居者に迷惑をかける可能性(1日中キーボードを叩いている、など……)もあります。

そういう意味では、コワーキングスペースの入居には、ある程度の鈍感力も必要なのかもしれません。

悪い点その3. セキュリティ面のリスクがある

入居中に何かが起こったわけではありませんが、やはりセキュリティ面のリスクは終始感じていました。

ICTCOの場合、一般的なコワーキングスペースと違って必ず利用前に審査があるものの、悪意を持った人が何かをしようとした場合、なかなか防ぐのが難しいのが実情です。対策としては、デスクにWebカメラを常時付けておく、くらいでしょうか。

その他、特筆すべきこと

打ち合わせがしにくい

入居前はメリットと考えていましたが、実際にはそうでもなかった、というやつです。もともと自宅がオフィスだったので、基本的に打ち合わせは取引先か、オンラインでした。コワーキングスペースであれば、打ち合わせもできて便利だよなーと考えていました。

しかし、ICTCOでは個室の打ち合わせスペースがなかったため、機密保持が必要な事項や、税理士さんとのセンシティブなやり取りなどは、かなり気を使う必要がありました。

オープンスペース

正直、これなら喫茶店でも大差ないな、と思います。

宅配便、郵便物の受け取りが助かる

ICTCOでは、受付が在席している時間(9:00~17:00)であれば、自分の代わりに宅配便、郵便物を受け取ってもらえたので、打ち合わせでの外出時などによく助けられました。

地味ですが、1人ですべての業務を行っているフリーランスとしては重要なポイントです。

まとめ:フリーランスにコワーキングスペースはオススメできるか?

オススメします。ただし、以下2点の条件付きで。

  1. 運営者との信頼関係を築ける
  2. 営業時間帯や提供サービスが自分に合っている

本文でも触れましたが、特に1.は重要です。この基本無しでは、すべての前提が崩れてしまいます。いきなり固定席を借りるのではなく、1~2ヶ月お試しでフリーアドレスの席を借りてみて、運営者との相性が良さそうだ、信頼できそうだ、と確信を得られたら本格的に利用する、という流れがベターでしょう。

数年で一気に普及したコワーキングスペースですが、大量に増殖したその影で、閉店する施設も増えてきました。成熟期とも言えるこの時期に、我々利用者側も、本当に自分に合ったコワーキングスペースを見つける目を持つことが大事になりますね。

というわけで、なんとなく硬いシメになった、コワーキングスペースを3年使った感想でした!