東京に大雪が降った2014年のバレンタインデーに、Web制作者向けの勉強会、DIST.1を初めて開催してから、早3年が経ちました。来月開催予定のDIST.16では、優先申し込みができる事前決済枠を初めて設けることにしました。よい機会なので、本記事では、世間一般の勉強会が抱える問題点と、DISTが事前決済枠を設けることになった経緯をまとめてみます。

DISTとは

DISTは、私が主宰を務めるクリエイティブコミュニティです。職種や技術の垣根を越えてWebに関わるすべての人を結ぶことを目的とし、定期的にWeb制作者向けの勉強会を開催しています。

DIST

Web制作にまつわるあらゆることを、 みんなで集まって学んでいく新しい会

勉強会は、2014年からの3年間で15回開催し、のべ900名以上に参加していただいています。ボランティアでお手伝いいただいている運営スタッフも、今日現在で42名という大所帯です。

DISTの様子

もちろん、最初からたくさんの参加者、スタッフがいたわけではありません。声を掛けられる範囲の小さい規模で始めて、回数を重ねるごとに徐々に成長してきました。

その過程で、大きな問題として立ちはだかったのが、キャンセル率の高さです。

参加者が3割!? 年々上昇する勉強会のキャンセル率

今年4月に開催したDIST.15を例に挙げます。テーマやスピーカーが大変多くのみなさんの興味を惹いたようで、受付開始から3時間で定員に達しました。最終的に、180名の定員に対して、実に374名の申し込み(connpass上の数字はキャンセル済みを引いた数字です)がありました。

しかし、フタを開けてみると、当日は116名の来場に留まったのです(一般参加者の数字です)。純粋な申し込み数に対すると、当日参加率3割という世にも恐ろしい割合です。

開場前のDIST.15

キャンセル者の内訳は、以下の通りです。

内訳 人数
2日前までのキャンセル 53名
前日・当日のキャンセル 77名
無断キャンセル 64名(※)
合計 194名

※定員内にも関わらず、キャンセルをせず、かつ当日出席しなかった人の数。前日・当日に77名のキャンセルがあったので、急に補欠から繰り上がって行きたくても行けない、という人もいたと考えられます。

ここで、「キャンセル率多すぎ! ひどい!」と文句を言うつもりはありません。ただ、リマインダーメールを送ったり、会場の席数よりも多めに募集(いわゆるオーバーブッキング)したり、といった小手先のテクニックでキャンセル率をカバーする時代は終わったと言えます。

開場前のDIST.15

私は、DISTを始める前に、F-siteというFlashユーザーコミュニティの代表を務めていたこともあり、勉強会の運営は15年近くの経験があります。

当日支払いの勉強会では、3割程度のキャンセルが出ること。キャンセル率は年々高くなってきていること。参加費が無料であれば、さらに率は高くなること。

しかし、キャンセル率ではなく参加率が3割という数字を目の前にすると、前述のようなノウハウや対策は、ほとんど通用しなくなったと言わざるを得ません。

そこで、DISTでは次回のDIST.16から事前決済枠を設けることにしました。

事前決済、はじめます

事前決済を行うことにより、キャンセル率の低下(=出席率の増加)、受付の省力化が見込めます。その中でも一番重要視しているのは、参加したい人が参加できる勉強会にすることです。

そのため、以下のようなルールも設定してみました。

connpassが持つ、PayPalによる事前決済機能を利用

DISTではイベント管理にconnpassを利用しているため、その機能をそのまま利用することにしました。

他にも様々なイベント管理&決済サービスがありますが、どれも一長一短で決定版と言えるものはない、という個人的な考えです。

事前決済枠は優先的に申し込み可能

どうしても予定を確定できない方、クレジットカードがない方なども考慮して、当日決済枠は残します。ただし、事前決済の方が参加率が高いことを想定し、申し込みは事前決済の方を優先的に受け付けます。

具体的には、イベントページ公開時は事前決済枠のみの受付とし、公開約10日後あたりに当日決済枠の受付を開始します。

DIST.15の受付の様子

また、懇親会は事前にお店の予約が必要なため、事前決済枠のみとします。

キャンセル・払い戻しには対応しない

悩ましいところなのですが、どうしても手間が増えてしまうため、当分の間はキャンセル・払い戻しに対応しません。ただし、今後運営体制の強化で対応可能な状況になれば、ルール変更する可能性は大いにあります。

持続可能なコミュニティを築きたい

世の中の勉強会の多くは、非営利として運営されています。もちろんDISTもその内の1つで、主宰の私はもちろん、スタッフ全員があらゆる名目での金銭を受け取っていません。

このような勉強会は、立ち上げよりも続けていくことが難しいものです。

そして、それを支えるのは、運営者だけではありません。スピーカー、スタッフ、参加者の全員が、なんらかの形でコミュニティに貢献する、という意識が重要になります。

懇親会

本記事で示したように、勉強会の運営には大小さまざまな問題が発生しますが、コミュニティ全体が主体的に取り組み続ければ、きっと持続可能なしくみを築けるはずです。

それではみなさん、DIST.16でお会いしましょう!(イベントページは5/24に公開予定です)

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