こんにちは、中耳炎が治りかけのオッキーです。

今日は、2018年3月26日(月)に行われた、Bonfire Frontend #1の参加レポートをお届けします。Bonfireは、ヤフーさんが主宰する技術・デザインコミュニティの総称で大きなかがり火を意味するそうです。すでにBonfire Android、iOS、Designなどが開催されており、今回のFrontendは初めての開催です。

会場内

会場は、ヤフーさんのオフィス内にあるコワーキングスペース、LODGEでした。永田駅直結で、駅からさくっと会場入りできてありがたいですね。角を曲がる度に警備員さんがいらっしゃって、ここで奇声をあげたらどうなってしまうんだろう……という好奇心に駆られてしまいました。

さて、さっそく各セッションのレポートにまいりましょう!

メディア事業に期待されるWebの役割とポジショニング

1人目のスピーカーは、サイバーエージェントの佐藤 歩さん。社内におけるフロントエンド領域の過去と現在について、その立ち位置やこなしている役割についての紹介がありました。2018年現在、フロントエンドエンジニアと言いつつ1日中Node.jsのコードを書いている人もいる(!)そうです。

もはやそれはフロントエンジニアと言えるのか、という感じではありますが、それくらいフロントエンドエンジニアがやるべき、立ち向かうべき領域が広がっているということ。逆に言うと、○○エンジニア、○○デザイナーという職種と、その職能に閉じた領域で仕事をしているだけでは、通用しない時代になっているということだと、改めて思います。

JSONによる自己紹介

フロントエンド、と一言で言っても、ベーシックで静的なHTML・CSSが求められるシーンもあれば、フレームワークを使った高度な実装が求められるシーンもあります。なにぶん大きな会社さんなので、そのまま他社・他業種に適用できる話ではないと思いますが、広い領域の中で「何を実現できるのか」を大事にする、という主張はとても共感できました。

佐藤さんの資料

HTMLファイ部という職能のはなし

2人目はカヤックのHTMLファイ部リーダー藤澤 伸さんです。カヤックの受託事業部の掲げているテーマは、「どれだけバズるか」。主な仕事内容は「1ヶ月くらいしか見られないサイトをバーッと作ってバーッと壊す」とのことで、同じような仕事をしている私としても大変親近感が沸きます(笑)。

藤澤さんの自己紹介

藤澤さんは、近年「バズ」という言葉が持つ意味が変容している、と語ります。数年前まで、エイプリルフールになると企業が軒並み特設サイトを作っていましたが、このところはSNSに投稿するだけ、というパターンが多くなってきています。その方が、コスト面でもスケジュール面でもパフォーマンスが優れているからです。

このままでは廃部か?という中、同部ではWebサイトを通して、刺さる体験・新しい体験をつくるということに特化してきたそうです。曰く、認知ではなく体験まで刺さるものを作らないと意味がない、と。おっしゃるとおり……!

個人的には、「Webサイトを通して」というところが肝だと思っていまして、「それソーシャルでいいじゃん」とか「それリアルイベントでいいじゃん」という声にしっかり向き合って、ただ目の前のWebサイトを作るだけにならないようにしなくては、と気が引き締まりました。

また、最先端の技術を把握しているエンジニアから、プランナーに対して技術ベースの提案をする会も開催されているそうで、こちらも興味深かったです。

広告制作会社におけるフロントエンドエンジニアの役割

3人目は博報堂アイ・スタジオの鈴木 利弥さん。広告制作会社のフロントエンドエンジニアというフィールドにおいて、どうやって仕事を楽しんでいるのか?というお話でした。

アイスタのエンジニア組織図

ワークフローとしてクライアントから離れた位置での仕事になるため、「何のためにやっているんだ…」という気持ちになりがち、というところは、首が折れるほどうなづきました。とはいえ愚痴を言っていてもしょうがなく、鈴木さんは主に3つ取り組みを行っています。

  1. 商品・ブランドを理解して主体的に案件に取り組む!
  2. 企画会議に参加して、自分が楽しめるような企画提案に挑戦する!
  3. デザイナーと一緒にブラウザ上にデザインしていく!

カヤック 藤澤さんの発表に通ずるものがありますが、やはりいずれもフロントエンドという単一領域(といっても広いですが)に閉じて仕事をしているだけでは、いい結果にならなかったり、仕事を楽しめなかったりする、ということかな、と思います。

今後のフロントエンド(仮)

休憩明けのスピーカーは、Node.js日本ユーザーグループの会長としてもおなじみの、リクルートテクノロジーズの古川 陽介さん。同社で取り組んでいる研修では技術を学ぶのではなく、技術の学び方を学ぶのが特長。なぜならば、フロントエンドの領域は広く、かつ深いから。一部だけでも、こんな感じ……。

フロントエンドの領域の一部

そのために重要なポイントとして、以下の3つが挙げられました。

  1. アプリケーションを作ろう
  2. 非機能要件にこだわろう
  3. 知識に垣根を作らない

手前味噌ではありますが、私が主宰を務めるクリエイティブコミュニティDISTでも、コンセプトの1つとして「職種の垣根を越える」を掲げています。取り組んでいる事業や作っているものが違っても、このように同じような考え方に行き着くということは、業界はあまり関係なく、Web制作に関わる人たち全般に領域横断的な働き方が強く求められているのだな、と理解しました。

僕の考えるフロントエンドエンジニアの生き残り方

最後はヤフーの伊藤 康太さんです。フロントエンドエンジニアとして、いかに好きなことをやりながら生き残るか、というお話でした。明日会社がなくなっても転職できる力を身につけておくべき、という話は確かにそうだよなぁと思いつつも、果たして自分が若い頃にそういうことを考えて仕事をしていたかを思い返すと、そうでもなかったような気が。

それは、当時のWeb制作におけるスキル領域が今ほど広くなかったからかもしれません。取りあえずHTML、CSS、簡単なJavaScirpt(ES2015とかBabelとかwebpackとかまったく不要、というか無かった)、そしてなによりFlashができれば何とかなる、という……。

もちろん、Flashという言葉1つの中身は今のフロントエンド領域のように深くて広いわけですが、それでも1つのテクノロジーを元にしているという楽さや、手軽さみたいなものは享受できていたのかな、と思います。

そう考えると、今の若い人がフロントエンド領域に取り組もうとしたときに、ES2015を覚えてBabelを覚えてwebpackを覚えてpugを覚えてSassを覚えて、ようやく最初に出来上がるものはただの静的ページ、という世界なので、辛みがあるなぁという感想です。もちろん、静的ページならただのHTMLとCSSでいいんですが、そこからステップアップしようとしたときの階段の1段目が異常に高いんですよね……。

まとめ

受託会社、サービス提供会社など、立場を問わず、わりと近い課題や対処法を語っていたことがとても印象的でした。参加費無料でこのような勉強会を開かれたヤフーさんに感謝です!

最後に、来場者によるアンケート結果を貼っておきます。

jQuery最強。

XD、意外と多いという印象。

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以上です!